20代で一人暮らしをしている人が、どれくらいの収入を得て、その中からいくらぐらい貯金をしているかご存じですか。学校を卒業して働き始めた社会人の収入には、それほど大きな開きはありません。よほど特殊な業種や仕事でなければ、額面で月収20万円前後の収入を得ていることでしょう。しかし、額面の収入から税金や社会保険料の天引きがあるので、手取り額はグンと下がってしまいます。
また、手取りの収入から生活費として家賃や電気・水道料金、スマートフォンの通信費、食費などの固定費を支払うと、自由に使えるお金はさほど手元に残らないのが現実でしょう。その自由なお金の中から毎月貯金をするのは、とても大変なことだと思います。この記事では、20代の一人暮らしの方の年収・月収や生活費、貯金額と貯金のコツについて詳しく解説します。
20代の年齢別平均年収・手取り
学校を卒業して就職した20代の社会人の年収がどのくらいの額かご存じですか。就職した業種や会社の規模、職種などによっても多少の違いはありますが、最初にもらう給与は、月収でおおむね20万円前後でしょう。年収としては、月収の12ヶ月分にボーナスを含めて250万円前後になりますね。ここでは、20代の社会人の年齢別の年収と手取り額について詳しく見ていきましょう。
年齢別平均年収
転職サービスが発表した2020年の調査結果によると、20代の年齢別の平均年収は以下のような状況です。
年齢 | 平均年収 | ||
全体 | 男性 | 女性 | |
20歳 | 279万円 | 309万円 | 256万円 |
21歳 | 280万円 | 305万円 | 259万円 |
22歳 | 283万円 | 295万円 | 272万円 |
23歳 | 294万円 | 309万円 | 281万円 |
24歳 | 323万円 | 340万円 | 306万円 |
25歳 | 346万円 | 365万円 | 326万円 |
26歳 | 365万円 | 385万円 | 340万円 |
27歳 | 382万円 | 407万円 | 350万円 |
28歳 | 394万円 | 421万円 | 358万円 |
29歳 | 404万円 | 432万円 | 363万円 |
平均 | 348万円 | 371万円 | 321万円 |
以上のように20代全体としての平均年収は348万円という結果です。でも、このお金が給与としてあなたの手元にもらえるわけではありません。この額面収入から、税金や社会保険料などが天引きされた手取り額があなたへ支払われます。では、いったいどのくらいのお金があなたの手元へ残るのでしょう。
月の平均手取り額
額面収入から所得税・住民税、社会保険料などが差し引かれた額が手取りの収入です。この手取り収入は、おおむね額面収入の80%程度になるので、簡易的には以下の計算で手取りの月収が計算できます。
手取給与月収=年収÷(12+ボーナス支給月数)×80%
たとえば、20代全体の平均年収額の348万円の場合、年に2回のボーナス支給があって、各ボーナスの支給額が月収の2ヶ月分の時、手取り月収は17万4千円です。
348万円÷(12+4)×80%=174,000円
この手取り収入で生活するわけですが、生活するにはさまざまな支出がかかります。一般的な一人暮らしではどのくらいの生活費がかかるのでしょう。
一人暮らしにかかる生活費の目安
ある調査結果によると、東京で一人暮らしをする場合に毎月かかる生活費の内訳の平均は以下の通りです。
男性 | 女性 | |
家賃 | 66,000円 | 64,500円 |
水道光熱費 | 10,200円 | 9,700円 |
通信費 | 10,800円 | 9,800円 |
食費 | 31,000円 | 27,500円 |
交際費 | 21,200円 | 18,100円 |
趣味娯楽費 | 14,900円 | 12,500円 |
日用消耗品 | 5,700円 | 6,400円 |
保険・医療費 | 7,500円 | 8,800円 |
その他 | 17,200円 | 18,100円 |
合計 | 184,500円 | 175,500円 |
この毎月の支出を1年間の支出に換算すると、男性が2,214,000円、女性が2,106,000円となります。この支出を手取り年収の金額から差し引いた残りは、男性が754,000円、女性が462,000円です。つまり、この金額が1年間の最大貯金可能額といえるでしょう。この金額を目標にコツコツ貯金に励んでみてはどうでしょう。
一人暮らし20代の平均貯金額、貯金額の中央値
金融広報中央委員会の調査によると、20代単身世帯の平均金融資産額は113万円となっています。ただし、中央値で見ると8万円なので、圧倒的に金融資産を持たない人の割合が高いといえます。確かに、学校を卒業して会社へ入社したての20代は、もらえる給与も少ないので、なかなか預貯金へ回すお金がない状況なのでしょう。
そうは言いつつも「スキーで骨折して入院」といったケガなどで長期間仕事を休まなければならなくなったときに備えて、最低3ヶ月分程度の生活費をまかなえる蓄えがあると安心ですね。また、うつ病などの精神疾患を患ってしまうと、1年程度休職することもあるので、貯金が多いに越こしたことはありません。貯金が難しい場合には、入院保険や医療保険に入っておくのがよいでしょう。保険料が安くなる若い年齢のうちに将来に備えて保険に加入しておくことは、後々お金の節約に貢献してくれます。
貯金するためのコツ
貯金するためのコツは、「何よりも先に貯金」することです。毎月の給与が銀行口座へ振り込まれる日に、積立貯金をするのがおススメです。また、積立した貯金がある程度の金額になったら、定期預金や投資信託などの金融商品、金やプラチナといった現物商品のような、お金に換えづらい形にしておくことです。そして、残ったお金で毎月やり繰りすることで金融リテラシーも向上します。
クレジットを活用して、ポイントをうまく使う
買い物をするときに現金の代わりに翌月払いでクレジットカードを利用することで、ポイントを賢く貯めることができます。また、クレジットカードの明細書を家計簿代わりに使うこともできるので、クレジットカードで支払うようにするのはおすすめです。
ただし、クレジットカードの使い過ぎにはくれぐれも注意が必要です。クレジットカードによっては、使い過ぎを防ぐための通知機能があるものもあるのでそれを利用するのがよいでしょう。また、クレジットカードの限度額を5万円や10万円などの少額に設定しておくことで、使い過ぎを防ぐことができます。
つみたてNISAの活用
「つみたてNISA」と聞くと、老後資金を貯めるための資産運用の手段だと思われるかもしれませんが、税制優遇がある「つみたてNISA」を若いうちから利用して資産運用することには大きなメリットがあります。小額から始められる「つみたてNISA」は、年間で40万円までの投資額の運用益が20年間(2042年まで)非課税で行えます。20代の頃から「つみたてNISA」を使ってコツコツ資産を増やしていけば、将来かなりの額になるでしょう。
あえて自炊しない
一般に、節約するためには自炊がすすめられていますが、一人暮らしの場合にはあえて自炊をしないという選択もあります。一人分の料理を作る場合、食材にロスが発生しやすいですし、ガス・水道・電気代などの光熱費もかかります。また、自炊でバランスが良い食事をとるのは、思ったよりも大変です。自分の生活圏の中で、安くて美味しい定食屋さんなどを見つけることができるのであれば、自炊するよりも節約できる可能性があります。
固定費を下げる
家賃や通信費、光熱費といった毎月支払わなければならない固定費を見直すことも大切です。会社から通勤費が支給されるのであれば、少しぐらい会社から遠くなっても、家賃の安い物件に引っ越してもいいでしょう。大手携帯会社のスマートフォンの通信費は高額なので、格安SIMに乗り換えることを検討してもいいですね。
また、光熱費を下げるのはかなり難しいですが、一人暮らしの場合には、冷蔵庫以外で日中の電気代はほぼゼロにできるはずなので、余計な電力を使う電気製品は電源プラグをコンセントから抜いておくことで節約を心がけましょう。また、家電を購入する際には、消費電力をチェックすることも大切です。
家電レンタルサービスの活用もおすすめ
これから一人暮らしをされる方は家電の購入よりレンタルがおすすめです。定額料金で好きな家電を利用することができるため、レンタル期間によっては新品を購入するより費用がかからずに済みます。また購入する時も事前にレンタルを利用すれば、気軽に機能を試すことができますよ。
自分のライフスタイルに合った家電を選ぶために、家電レンタルの利用も検討してみてはいかがでしょうか。