乾燥が気になる冬の季節。暖房器具と併用して、加湿器を使っている方も多いのではないでしょうか。空気の乾燥はのどや鼻の粘膜の機能低下にもつながるため、体調管理の面からも加湿器の使用は効果的です。
しかし、その置き場所によって加湿効果に差が出ることをご存じですか? 場合によっては、適切な加湿効果を得られないだけでなく、健康被害や家具の劣化を引き起こしてしまう可能性もあります。
また、加湿器を安心して使用していくためには、定期的なお手入れが必要です。
今回は、加湿器の効果を活かせるおすすめの置き場所や、湿度が上がらない時のチェックポイント、加湿器のお手入れ方法についてご紹介します。
部屋を効率的に加湿できる加湿器の置き場所は?
加湿器の適切な置き場所を考えるときは、お部屋の中の空気の流れや状態をイメージしましょう。基本的に暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ移動する性質があります。
そして、窓辺や壁側は外に近く空気が冷えやすいため、お部屋の中央や天井近くが温まりやすい傾向があります。このような状況を踏まえて、効率的に加湿できる場所を探すのがおすすめです。
リビングの加湿器の置き場所は?
リビングで加湿器を使う場合は、なるべく部屋の中央付近に置くようにしましょう。暖かい空気が集まりやすい部屋の中心から加湿することで、加湿効果がバランスよく全体に広がります。
リビングのど真ん中に置くのは難しいという場合は、エアコンの吸入口のそばに設置するのが効率的。水蒸気を含んだ空気がエアコンに吸入されれば、エアコンから部屋全体に加湿した空気を行き渡らせることができます。
卓上タイプの加湿器は日中過ごすデスクやテーブルの上がおすすめ
卓上タイプの加湿器については、床ではなくデスクやテーブルに置くのが良いでしょう。小型の加湿器で床付近の空気だけを加湿してしまうと、床や壁付近で冷えた空気が結露を起こしやすくなります。
なるべく高い位置で暖かい空気に水蒸気を送り込むため、加湿器の吹き出し口は床から70~100cmの高さになるよう調整しましょう。
寝室の加湿器の置き場所は?
寝室で加湿器を使う場合も、リビングと同じく部屋の中央に設置するのが理想です。ただし寝室では、部屋の中央には布団やベッドなどの寝具を置くことが一般的ですね。部屋の中央でなくても、エアコンの吸入口付近やベッドサイドに置けば加湿効果を発揮できます。
窓や家具に加湿器を近づけすぎないように注意し、寝具にも水蒸気が直接当たって湿らないように気を付けましょう。
寝る時に加湿器をつけておくのはNG
寝ている間、ずっと加湿器をつけておくのはおすすめできません。就寝後にエアコンを切っている場合は特に、夜中に部屋の温度が下がって結露が起きやすい状態になります。
加湿のし過ぎはカビや細菌が発生する要因にもなるため、加湿器のタイマー機能を利用して就寝後には消えるようにしておきましょう。エアコンと設定時間を揃えておくのも良いですね。
オフィスの加湿器の置き場所は?
オフィスで加湿器を使用する場合も、家のリビングなどと基本は同じで、フロアの中央に設置するのがベストです。デスク配置や従業員の動線(人が往来するルート)によっては加湿器をフロア中央に設置することがむずかしい場合もありますが、できるだけ中央に置くことで潤った空気をまんべんなく拡げられます。
オフィスの加湿器は、エアコンの下への設置もおすすめです。潤った空気をエアコンの風に乗せてあげることで、効率良くフロアの湿度を上げられます。ただし、加湿機本体にエアコンの風が直接当たると、センサーが誤作動を起こす可能性があるため注意しましょう。
加湿器を置く高さも重要? 置台の必要性
加湿器を使用する際は、本体を床置きするのではなく「置台」の上に設置することをおすすめします。加湿器を置台の上に設置して、30cm以上の高さで使用することで、部屋の湿度を効率良く高められます。
また、置台があれば加湿器の蒸気で床が傷むことも防げます。オフィスのように広さがあり長時間デスクワークをするような環境では、床から50~80cm程度の高さを目安にして設置すると良いでしょう。
注意したい、加湿器を置いてはいけない場所
ここまで加湿器のおすすめの置き場所をご紹介しましたが、反対に、加湿器を置くのに不適切な場所もあります。
以下に挙げる注意点を踏まえたうえで、加湿器は効果的な場所に設置しましょう。
壁の近くや窓際に置かない
壁や窓のそばの空気は、冷たい外気の影響を受けて温度が下がっています。温度が低い空気を加湿すると直接的に結露を引き起こすことになり、加湿効果が出ません。
そればかりか結露によってできた窓の水滴は、部屋の空気中の水蒸気を取り込んでしまうため部屋の湿度が逆に下がることもあります。壁で結露が起こるとカビが発生する恐れもあるため、加湿器は壁や窓から離して設置してください。
エアコンの風が直接当たる場所に置かない
エアコンから出た温風が加湿器に直接当たると、加湿器の温度、湿度センサーが誤作動を起こす恐れがあります。加湿器の機能を活かすためには、エアコンの風が直撃しないよう注意しましょう。
少し置き場所を工夫して、加湿した空気がエアコンからの風の流れに乗って部屋を循環するようにできると効果的ですよ。
床に直接置かない
冷たい空気は低いところに移動する性質があるため、床付近の気温は下がりがちです。加湿器を床に置いていると、吹き出た水蒸気は冷えた空気ばかりを加湿して結露の原因になり、天井付近に浮き上がることもできません。
なるべく暖かい空気を加湿するため、加湿器は床から離して高い位置に置くことを意識してください。先にも紹介した「置台」を使うのも良いでしょう。
紙類や精密機器の近くに置かない
紙類のそばで加湿器を使っていると、紙が水蒸気の影響を受けて湿気を帯び、ふやけてしまいます。加湿器を本棚や紙製品の近くに置くことは避けましょう。
同じような理由で、パソコンなど湿気の悪影響を受けやすい精密機器の近くに設置することもできるだけ避けてください。
水蒸気が直接肌にあたる場所に置かない
加湿器から出る水蒸気が肌にあたると、肌に保湿効果があるようにも感じますが、実はこれは間違いです。
美顔器は微細な粒子にした水蒸気を放出するのに対して、加湿器による水蒸気は粒子が大きいため肌から吸収できないのです。肌に付着した水蒸気は、蒸発するときに肌が持っていた水分も奪ってしまい、むしろ肌の乾燥を促すことになって逆効果です。加湿器から出る水蒸気は、人の肌に直接触れないように気をつけましょう。
加湿器を使っても湿度が上がらない理由は?
せっかく加湿器を設置したのに「湿度が上がらない」というケースがあります。そういった場合は加湿器の置き場所や機種の選び方、使用方法に問題がある可能性が高いと考えられます。
加湿器を運転しているにもかかわらず、湿度が上がらないときのチェックポイントを5つ紹介します。
部屋の中に外の空気が大量に入ってくる
ドアや窓を開けたまま加湿器を使用していると、外の乾燥した空気が大量に流れ込むので湿度が上がりません。また、ドアや窓を閉めていたとしても、頻繁に人が出入りする場所に加湿器を設置している場合も湿度は上がりにくいでしょう。
そのほか、気密性の低い部屋で加湿器を使用すると、結露を起こしてしまい湿度が上がらないケースがあります。気密性の低い部屋で効率良く湿度を上げるためには、テープやカバーなどで隙間を塞ぐ対策が必要です。
換気扇を使っている
換気扇を回しながら加湿器を使用している場合も湿度が上がりにくくなります。調理中にだけ換気扇を回す程度であれば問題ないですが、長時間回したままにしておくと、加湿量を換気量が上回ってしまう可能性があります。
LDK(リビングとダイニングが一体になったキッチン)などで加湿器を使用する時は、換気扇の運転時間を意識しましょう。
部屋の広さに比べて加湿器の適用床面積が狭い
加湿器の加湿能力が部屋の広さに合っていないケースも湿度が上がらない原因になります。市販されている加湿器には、「適用床面積」あるいは「適用畳数」という数値が定められています。
部屋の広さが加湿器の適用床面積を超えている場合、加湿能力が不足するため湿度は上がりにくくなります。仮に、部屋の広さが加湿器の適用床面積以内であったとしても、吹き抜け構造などで天井が高くなっていれば、湿度が上がらない可能性があります。
部屋の広さより少し適用床面積の大きい加湿器を選ぶようにして、とくに天井の高い部屋に設置する加湿器は、より加湿能力の高いものを使いましょう。
目的に合った加湿方式になっていない
加湿器にはさまざまなタイプがあるため、目的に合った製品を選ぶ必要があります。加湿器の加湿方式には主に次の4種類が挙げられます。
- 加熱式
- 気化式
- 超音波式
- ハイブリッド式(加熱気化式、加熱超音波式)
気化式や加熱気化式の加湿器は、蒸気をファンで拡散するため、広い空間を加湿するのに適していることが特徴です。
一方、加熱式や超音波式、加熱超音波式の加湿器は、狭い範囲を加湿するのに適しています。広い空間で加熱式や超音波式、加熱超音波式の加湿器を使用しても、効率良く湿度を上げられない可能性があります。
加湿器を設置する時は、適用床面積・適用畳数に加えて、加湿方式にも注意しましょう。
お手入れができていない
加湿器のメンテナンスが不十分で、加湿能力が落ちてしまっているケースもあります。加湿器のフィルターは長く使用していると、カルキやカビ、水垢などで汚れていきます。フィルターが汚れで目詰まりすると本来の加湿能力を発揮できません。
製品や使用頻度によって違いはあるものの、週1回~月1回はフィルター清掃が必要です。お手入れ方法や頻度は取扱説明書に記載されているので、忘れずに確認しておきましょう。
加湿器の汚れの原因と掃除方法を種類別に解説
加湿器は水道水を使用します。水道水には病原菌を殺菌するための「カルキ」が含まれていますが、加湿器を繰り返し使用しているうちにカルキ、つまり水垢がフィルターに固着してしまうのです。
また、カルキの殺菌効果はおおよそ1日で消えてしまうので、定期的に掃除をしないとフィルターにはカビが繁殖してしまいます。加湿器を汚れたまま使用していると、加湿能力が落ちるだけでなく、故障や健康被害の原因となります。ここでは、加湿器のタイプ別に掃除方法を紹介します。
スチーム式(加熱式)加湿器
スチーム式加湿器は水を加熱して蒸気を発生させているため、比較的雑菌が繁殖しにくいと言われています。しかし、タンク内に水垢が付着するため定期的な掃除が必要です。
スチーム式加湿器を掃除する時は、タンク内にクエン酸水を入れて運転してください。クエン酸の濃度や運転時間は取扱説明書に従いましょう。
気化式(ヒーターレス)加湿器
気化式加湿器はフィルターが常に濡れている状態であり、雑菌が繁殖しやすいため、こまめなお手入れが必要です。
フィルターは水で押し洗いするのが基本ですが、汚れやにおいが気になる場合は、クエン酸水に付け込んでおくと綺麗になります。タンクの水は毎日交換するのが理想です。汚れている場合は少量の水を入れて振り洗いしましょう。
超音波式加湿器
超音波式加湿器は水を細かい粒子にしてそのまま放出するので、掃除が不十分だと健康被害のリスクが高くなります。超音波加湿器の水は基本的に毎日交換してください。
掃除の際は少量の水を入れて振り洗いしてください。その他パーツにも汚れが付着しやすいので、布や柔らかいブラシなどを使用してこまめにお手入れしましょう。
ハイブリッド式加湿器
ハイブリッド式加湿器は高価ではあるものの、抗菌作用が施されているモデルが多いため、比較的汚れにくいタイプであると言えます。
製品や使用頻度によって異なりますが、タンクの水の交換やフィルター清掃は週に1回を目安に行いましょう。フィルターは水で押し洗いし、タンクは少量の水を入れて振り洗いしてください。
加湿器を適切な場所に置いて効果的に加湿しよう
冬の乾燥した空気を潤すために、加湿器は非常に便利です。しかし、せっかく使っていても効果が発揮できていなければもったいないですよね。加湿器の置き場所選びにはポイントがあります。お部屋の空気の流れや状態を意識して、より効果的に加湿できる置き場所を考えてみましょう。今回ご紹介した注意点なども参考にしてくださいね。
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