賃貸アパートやマンションの退去を考えていて「退去費用の相場を知りたい」「退去費用を安く抑える方法を教えてほしい」など疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
退去費用の相場を知っていると、引っ越し時の予算計画が立てやすくなります。また、入居時から過ごし方に気をつけておくことで、退去費用を安く抑えることが可能です。
この記事では、退去費用の相場や退去費用を安く抑える方法、高額請求されたときの対処法などについて解説します。
アパートやマンションなどの賃貸物件で支払う退去費用とは
賃貸物件の退去費用には、「原状回復費用」と「ハウスクリーニング費用」の2つの費用があります。それぞれの費用の内容を知っておくことは大切です。
ここでは、賃貸物件の退去費用である原状回復費用とハウスクリーニング費用について見ていきましょう。
退去費用(1):原状回復費用
原状回復費用とは、部屋を借りたときの状態に戻すための修繕費用のことです。ただし、通常の使用でついた傷や汚れなどは原状回復の対象にはなりません。あくまでも、通常の使用を超える範囲でついた傷や汚れなどが対象です。
原状回復費用を負担するのは入居者(借主)? 大家(貸主)?
原状回復費用は「入居者負担」と「大家負担」に分かれます。どちらが負担するかは、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に定められています。
原状回復費用で入居者が負担するものは、入居者の故意・過失、善管注意義務違反、通常使用を超える使い方によってついた傷や汚れなどです。次のような費用は入居者が負担します。
- 壁に空けた釘穴
- 壁や柱に書いた落書き
- 水回りのカビ
- 台所の油汚れ など
また、通常使用でついた傷や汚れ、経年変化などの原状回復費用は大家が負担します。次のような費用は大家負担です。
- フローリングのワックス
- 寿命による設備機器の故障
- 床や畳の日焼け など
このように、原状回復費用は入居者と大家で負担内容が異なります。
退去費用(2):ハウスクリーニング費用
ハウスクリーニング費用とは、専門業者による部屋のクリーニング費用のことです。プロ業者が次のような清掃を行います。
- 床の掃除
- 水回りの掃除
- エアコン掃除 など
賃貸物件に入居する際の契約書に「退去時はハウスクリーニングが必要」という旨が記載されている場合は、ハウスクリーニングを行わなくてはなりません。契約書に記述がない場合は、ハウスクリーニングを実施しなくても良い場合が多いです。
退去費用の相場はいくら?
部屋の間取りや居住年数、広さ、汚れや破損内容によっては退去費用が変わります。ここでは、退去費用の相場について見ていきましょう。
部屋の間取り別:退去費用の相場
部屋数が多くなるほど、退去費用は高くなる傾向にあります。間取り別の退去費用相場は、次のとおりです。
- ワンルーム~1LDK:5万円程度
- 2K~2LDK:8万円程度
- 3DK~4LDK:9万円程度
このように、ワンルーム~1LDKより2K~2LDKや3DK~4LDKのほうが退去費用は高くなる場合が多いです。
居住年数別:退去費用の相場
居住年数別の退去費用目安は、以下のとおりです。
- ~3年:5万円程度
- 4~6年:6万円程度
- 7年~:8万円程度
部屋の使い方や不動産会社にもよりますが、一般的に居住年数が長くなるほど退去費用は高くなります。
部屋の広さ別:退去費用の相場
部屋の広さ別の退去費用相場は、次のとおりです。
- ~20㎡:3,000円程度
- ~30㎡:2,200円程度
- ~40㎡:2,300円程度
- ~50㎡:1,700円程度
- ~60㎡:1,400円程度
- ~70㎡:1,300円程度 など
(※金額は1㎡あたり)
基本的には、部屋が広いほど面積あたりの退去費用は安くなる傾向にあります。
部屋の汚れや破損の補修にかかる修繕費用の相場
汚れや破損にかかる修繕費用相場は、次のとおりです。
- 壁紙の張り替え:1㎡あたり750円~900円程度
- 床材の汚れのクリーニング:1万5,000円~2万5,000円程度
- 床材の張り替え:8,000円~1万5,000円程度
- 水あかやカビのクリーニング:5,000円~2万円程度 など
汚れや傷の程度、業者によって費用は変わります。場合によってはまとまった費用が発生しますので注意が必要です。
退去費用が高額請求になりやすいケース例
カビやシミ、ペットによる臭いや傷などがある場合は退去費用が高額になる可能性があります。また、鍵を破損・紛失している場合も注意が必要です。ここでは、退去費用が高額請求になりやすい事例を見ていきましょう。
カビやシミ
カビやシミが発生すると退去費用が高額になる可能性があるため注意してください。たとえば、結露が原因でカビやシミが発生して、クロスやフローリングにも影響が出た場合です。クロスやフローリングの張り替えが必要になると、数万円~数十万円の費用を請求されることがあります。
ペットによる臭いや傷
ペットによる臭いや傷が原因で退去費用が高額請求されることもあります。ペットを飼うと、爪とぎなどによって壁や柱、床など多数の部分に傷がつきます。そのため、退去時には壁紙や床材などの張り替えや補修工事が必要です。また、臭いが消えない場合は脱臭サービスの利用も検討しなくてはなりません。
家の鍵の紛失による交換
家の鍵を紛失している場合は、鍵の交換が必要です。防犯性の高いディンプルキーであれば、数万円の費用がかかることもあります。鍵を紛失・破損している場合は注意してください。
退去費用を安くするために入居中に気を付けること
入居中の過ごし方によって退去費用を安く抑えることが可能です。退去費用を安く抑えるために、入居中はどのような点に気をつければいいのか、注意点やテクニックについて見ていきましょう。
入居時に部屋の傷や汚れを確認しておく
入居時点でついている部屋の傷や汚れは記録しておきましょう。前入居者がつけた傷や汚れの分も知らないうちに退去費用として請求されることもあります。入居して傷や汚れが見つかった場合は、スマートフォンなどで撮影して不動産会社に報告しましょう。
壁やクロス、床に傷がつかないようにする
壁やクロス、床に傷がつくと、張り替えをしないといけない可能性があります。床にはラグやカーペットを敷き、テーブルやイスの脚には保護カバーを取りつけるなどして傷がつかないようにしましょう。
設備の取り扱いに気をつける
設備機器の使い方が悪く故障してしまった場合は、修理代などを請求される可能性があります。取扱説明書にも目を通し、丁寧に扱うようにしましょう。
定期的に掃除を行う
こまめに掃除や換気をすることが大切です。掃除や換気がおろそかだと、カビやシミが発生しやすくなります。掃除や換気を徹底すればカビやシミの発生リスクを軽減でき、退去費用を安く抑えることが可能です。
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部屋の中で喫煙をしない
部屋の中でたばこを吸うと、臭いが染みつき、クロスが変色する可能性があります。たばこを吸う人は、部屋の外で喫煙するようにしてください。
退去前に可能な範囲で掃除や修繕をする
物件を退去する前に掃除や修繕を行いましょう。特に汚れが目立ちやすい水回りは重点的に掃除をすると良いです。掃除や修繕を行うことで、退去費用が安くなる可能性があります。
管理会社に交渉する
退去費用は管理会社との交渉で安くなる可能性があります。どうせ無理だと、最初から諦めずに交渉しましょう。事前に他社の補修費相場や国交省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認しながら交渉してみてください。
高額の退去費用を請求されたときはどうすればいい?
退去費用の高額請求を受けたときは、費用の内訳を確認しましょう。他社相場や国交省のガイドラインと照らし合わせて不自然な費用がないかチェックします。
内訳を確認しても納得できない場合は、下記に相談する方法もあります。
- 消費者ホットライン
- 公益財団日本賃貸住宅管理協会
- 一般財団法人日本消費者協会
専門家が状況に応じた対処法をアドバイスしてくれます。
退去時に慌てないよう、日頃からお部屋をキレイに使おう
退去費用を安く抑えるには、入居期間中に部屋を大切に使うことが大切です。日頃から部屋を大切に使っていれば、多くの傷や汚れは発生しません。
また、新生活に必要な家電はレンタルサービスを活用することで次の引っ越しにかかる初期費用を安くすることができます。引っ越し時の処分や移動の手間もないため、退去するときにも便利です。