冬の季節が近づいて寒くなってくると空気が乾燥しますよね。肌が乾燥すると、つっぱった感じがしたり、かゆみの症状が出たり、粉を吹いたように白くなったりします。また、のどが乾燥すると、せきやたん、声枯れ、のどの痛みなどが起こります。
こういった肌やのどのトラブルを防ぐには、どういった乾燥対策が有効なのでしょう。この記事では、部屋が乾燥する原因やリスク、どうすれば部屋の乾燥を防ぐことができるのか、また、乾燥対策に有効な加湿器の種類や選び方を詳しく紹介します。
冬になると部屋が乾燥する理由
そもそも冬になるとなぜ乾燥するのでしょうか。冬の西高東低の気圧配置になると、シベリア大陸から冷たい空気が日本海を越えて入ってきます。日本海を越える際に、この冷たい空気は水分を含み、日本海側の地方に雪を降らせます。その後、雪を降らせた冷たい空気は水分を失って太平洋側へ乾燥した冷たい空気として流れ込んできます。そのため、冬になると太平洋側は日本海側より乾燥した状態が続きます。
また、部屋の中が乾燥していると感じるのは、空気中の飽和水蒸気量に関係があります。空気中の水分量が同じ場合、温度が高いほうが飽和水蒸気量は大きくなります。気温が低いと飽和水蒸気量が小さいので、空気中に含むことができる水分量も小さくなります。
そのため、暖房によって部屋の温度が上がると、大きくなった飽和水蒸気量に対して空気中の水分量が少ない状態となるため、相対湿度が下がって乾燥したと感じるわけです。
乾燥しないために最適な湿度や温度は?
乾燥を防いで快適に過ごすことのできる部屋の湿度は、40%から60%の範囲といわれています。一方、湿度が60%を超えると、健康被害を起こすダニやカビが増殖しやすくなったり、湿度が40%を下回ると肌やのど、目などの乾燥の原因になったりするので要注意ですね。
また、冬の適切な室温は18℃から22℃ぐらいです。少しぐらい室温が低くても、湿度を上げることで体感温度を上げることができるので、室温と湿度のバランスが大切です。
部屋が乾燥することで起きる影響
部屋の空気が乾燥すると、肌が乾燥するだけでなく、体にさまざまなトラブルが発生します。ここでは、乾燥することで起こる身体へのトラブルについて詳しく見ていきましょう。
免疫機能の低下
のどや鼻の粘膜は、細菌やウイルスが体の中へ侵入するのを防ぐ機能があります。この粘膜が乾燥してしまうと、細菌やウイルスが体内に入ることを防ぐ力が衰えるために、免疫力が下がる原因になります。
お肌へのトラブル
肌の角質層は皮膚の中の水分が必要以上に外に出て行くことを防ぐとともに、外から細菌や刺激物などの異物が進入するのを防止しています。
肌が乾燥すると、このバリア機能が低下して水分が体の外に出ていきやすくなるため皮膚に隙間ができ、そこから細菌などの異物が侵入すると、皮膚の中で免疫細胞が異物を感知して炎症を引き起こす物質を放出します。
そのために、湿疹やかゆみが引き起こされることになります。乾燥する冬場は保湿クリームなどを使って、肌を乾燥から守るようにすることが大切です。
脱水症状の危険性
脱水症状というと夏の暑い日に起こると思いがちですが、乾燥と水分摂取の不足で冬でも脱水症を引き起こす危険性があります。エアコンなどの暖房を使用することによって湿度が下がります。乾燥すると皮膚や粘膜、呼気から水分が失われる不感蒸泄(ふかんじょうせつ)が増加し、知らないうちに身体から水分が失われてしまいます。冬は、水分を失っている自覚が少ないため、夏に比べ水分の摂取が減りがちです。
乾燥により増加する不感蒸泄と、水分摂取が不足しがちになる冬は、脱水症状にならないように水分補給を心がけましょう。
静電気の発生
服を脱ぐときや、ドアノブに触れたときの静電気は嫌ですよね。プラスに帯電したものとマイナスに帯電したものが近づくと、プラスとマイナスのバランスを整えようと電気が流れます。この時「バチバチ」と音がしたり、痛みを感じたりします。湿度が高い場合、静電気が発生しても物質の表面にある水分を通って電気が分散するので自然に放電され、痛みを感じることもありません。
一方、湿度が低いと水分を通って放電する量が減るため静電気が発生する量が多くなって、「バチバチ」といったり痛みを感じたりする現象が発生するわけです。
火災の恐れ
消防白書によると、燃えやすいものを保管する倉庫やガソリンスタンドのような危険物施設における火災の着火原因の約2割を静電気が占めているという報告があります。冬になると、一般家庭でも石油ファンヒーターなどの暖房器で灯油を使用する機会が増えるので、タンクへ灯油を入れる際には静電気に注意が必要です。
乾燥していると思ったらやるべき対処法
空気に含まれる水分量を増やせば部屋の乾燥を防ぐことができます。それではどうすれば、空気中の水分量を増やすことができるのでしょう。ここでは、乾燥を防ぐための方法をいくつか紹介します。
洗濯物やタオルを干す
いちばん簡単な方法としては、洗濯物やタオルを部屋の中に干すことです。洗濯物を室内に干すことで、湿度を数%上げることができます。部屋干しで気になる匂いについては、部屋干しの匂いの原因となる細菌の繁殖を抑える洗剤や、洗濯乾燥機の部屋干しコースなどを利用するとよいでしょう。
お湯を沸かす
短時間で部屋の湿度を上げるならお湯を沸かすのがおススメです。ケトルやなべでお湯を沸かすことで、さほど広くない部屋なら10%以上湿度を上げることができます。ただし、水蒸気によって急激に部屋の湿度が上がるので、窓などに結露がた溜まることがあります。窓の結露は、窓枠周辺のカビの原因になるので、結露対策もお忘れなく。
霧吹きやスプレーで水をまく
百均などで手に入る霧吹きやスプレーを使って湿度を上げることもできます。霧吹きやスプレーで空中や布製品に水分を含ませることで、その水分が蒸発して湿度が上がります。霧吹きで水分を含ませる布としてはカーテンがおすすめです。カーテンは表面積が大きいので、効率良く水分が蒸発しますし保湿効果も期待できます。
バスルームの扉を開けておく
ワンルームマンションやアパートならば、浴槽にお湯を張ったままにしてバスルームの扉を開けておくことで、部屋の湿度を上げることができます。ただし、入浴直後にバスルームの扉を開けておくと、バスルームに充満した湯気が急激に部屋へ広がることで、必要以上に部屋の湿度が上がって窓や家具に結露が発生することがあるので注意してください。
加湿器を使う
効率良く部屋の湿度を保つのであれば、加湿器を購入するのがよいでしょう。多少の電気代はかかりますが、加湿器を使えば部屋の湿度を安定的に保ってくれるので冬の室内の環境を快適にできます。
加湿器を買う前に! 種類と選び方
最近は、さまざまなタイプの加湿器が販売されているので、どの加湿器を選べばよいのか迷ってしまいますね。ここでは、加湿器の種類と選び方について解説します。
超音波式
超音波式は、タンクの底に設置された圧電セラミックスの振動子から発生した超音波の振動エネルギーが水面に伝わることによって微細な霧を発生する加湿器です。
他の方式の加湿器に比べて設計の自由度が高いので、デザインがおしゃれなものが多いのも特徴です。おしゃれでデザイン性の良いものを好む方にはおすすめです。また、消費電力は、スチーム式に比べると低く抑えられるので、電気代を安く抑えたいという方にもぴったりです。
一方、超音波式はスチーム式のように水を加熱しないので、メンテナンスをせずに使い続けるとタンク内の水に雑菌が繁殖することがあります。雑菌の繁殖を防ぐには、こまめに掃除することが大切です。
スチーム式
スチーム式は、電気ヒーターで水を加熱し発生した蒸気で加湿します。水を沸騰させるスチーム式の場合、雑菌の繁殖が抑えられ衛生的であることや加湿能力に優れていることが特徴です。デメリットとしては、本体が熱くなるので、やけどの恐れがあります。子供がいる家庭では、加湿器を子供の手が届かない場所に置くなどの注意が必要です。
気化式
気化式は、水を含んだフィルターなどに風を当てて水を気化させることで加湿します。気化式では水を加熱するための電気ヒーターはないので消費電力は低く電気代も安く抑えられます。加湿能力は、スチーム式に比べると低く広い部屋で使用するには向いていません。また、水を含ませるフィルターに雑菌が繁殖しやすいためフィルターの交換や掃除などのメンテナンスが必要です。
水は気化するときに熱を吸収するので、気化式を使用すると室温が下がります。気化式を使う場合には暖房器との併用が必要でしょう。
ハイブリッド式
ハイブリッド式には、スチーム式と気化式を組み合わせた【加熱気化式】と、スチーム式と超音波式を組み合わせた【加熱超音波式】などがあります。ハイブリッド式は、部屋の湿度に応じて適した機能へ自動的に切り替わることが特徴で、機能が豊富な一方、価格は高くなります。スチーム式よりは電気代は安くなりますが、気化式や超音波式と比べると高くなってしまいます。
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加湿器の購入なら家電レンタルサービスの活用もおすすめ
加湿器の購入で迷ったら、家電レンタルもおすすめです。定額料金で好きな加湿器を利用することができるため、レンタル期間によっては新品を購入するより費用がかからずに済みます。購入するときも事前にレンタルを利用すれば、気軽に機能を試すことができますよ。