ホテルの管理システムPMSについて解説！ おすすめPMSの比較も

PMSとはホテル・旅館などの宿泊施設で導入されている管理システムのこと。ホテルの予約管理システムというだけではなく、データ集積や分析といった分野にも対応しています。

今後の顧客満足度の向上を目指したり、営業戦略を立てるための分析にはPMSは欠かすことのできないシステムです。複数あるPMSの比較や導入する際のポイントなども解説していきたいと思います。

PMSとは？

PMSは、Property Management Systemの略称です。ホテルをはじめとする宿泊施設の管理システムのことで、宿泊予約・客室・顧客情報などを管理する機能があります。システムから客室残数を把握することができ、リピーターなのか新規客なのか瞬時に確認できるため、電話応対などの際も個別に寄り添った対応を行うことが可能です。

PMSの導入により瞬時のデータ解析が可能となったことから、従来シーズン終了後に戦略を練っていた検証作業を、シーズン中に行うことができるようになりました。対策や軌道修正をリアルタイムに行い、収益を見直すことで、安定した売上を確保できることが最大のメリットです。

オンプレミス型とクラウド型

PMSには自社でサーバーを管理・運用するオンプレミス型と外部のクラウドシステムにネットを介して接続するクラウド型があります。

近年は初期費用の抑えられるクラウド型が人気です。クラウド型はサーバーの保守やバージョンアップを業者に任せることができます。さらに、社外からアクセスできることもメリットです。

一方、社外からアクセスできるということは、セキュリティ面に万全を期す必要があります。クラウド型はセキュリティ面でも業者が徹底して行っており、顧客情報を安心して管理することができます。

対してオンプレミス型は自社で管理するシステムであるため、管理コストやサーバーを配置するためのスペースが必要であることがデメリットです。

サイトコントローラーとの違い

サイトコントローラーは複数の予約サイトを一元管理するシステムのこと。ホテルのフロント情報全般を管理するPMSとサイトコントローラーは別物ですが、近年は一体型のものも登場しています。

最近は旅行予約サイト（じゃらん、楽天トラベル、Booking.com等）からの予約がますます増えています。これまでは予約サイトごとに販売数を振り分ける必要がありましたが、サイトコントローラー一体型のPMSでは一元管理ができるため、部屋を割り振る必要なく、一斉販売することが可能となりました。

PMSでできることと選ぶ際のポイント

PMSは業務効率化やデータ分析に活用することができます。ホテルのデータ分析においては特に「マーケットセグメント」「チャネル（経路）」「アカウント」の3つの観点に基づいた分析ができるとよいでしょう。

これらの分析が十分にできるか？という観点はシステム選びの際とても重要です。さらに導入の際はコスト面や自社の規模に合うかも吟味する必要があります。では具体的にPMSの選び方を見ていきましょう。

価格から選ぶ

導入するにあたり、初期コストは重要です。基本的にはサーバーを設置する必要のないクラウド型サービスのほうが、初期費用を抑えることができます。

Webブラウザで起動するASP（インターネットを通じてアプリケーションを提供するシステム）といったシステムも登場しており、こちらはさらに初期コストを抑えることができます。月額制のシステムもあり、本格的な機能を割安に利用することもできます。

製品ごとに搭載されている機能が異なるため、費用はもちろん、特徴を把握しながら導入目的に合わせたシステムを検討していきます。

必要な機能で選ぶ

PMSは搭載されている機能が幅広いのが特徴です。顧客管理・会計・データ分析など、すべて有用な機能であることは間違いありません。

最近では中小規模のホテル向けの機能を絞ったコンパクトなPMSも登場しています。しかし大型ホテルにとっては機能不足で不便を感じるでしょう。また、PMS本体の機能だけでなく、旅行会社と連携することができるシステムがおすすめです。

ホテルの規模に合ったシステムを選ぶ

PMSを機能から選ぶのではなく、客室数・規模から選ぶ方法もあります。大規模ホテルの場合、管理する顧客データは膨大です。これらのデータ管理や解析をスムーズに行うことができるPMSが必要です。

対して小規模ホテルの場合は個人客が多いことから、コンパクトなPMSを選ぶことで初期投資を抑えることができるでしょう。

導入実績や導入後のサポートで選ぶ

充実した高額な機能を備えたPMSを導入しても、突然のトラブルは避けて通れません。そういった緊急事態に手厚いサポート体制があるPMSを選んでいると安心です。

24時間対応のコールセンターや、トラブルや保守障害の際にリモートで対応できるサポートがあれば万全です。大切な顧客を守るためにも、もしもに備えてサポートが充実しているPMSはおすすめです。

おすすめPMSを比較

それでは、おすすめのPMSをそれぞれ比較していきます。

TAP

TAPは株式会社タップが提供するホテルシステムで、利用企業ごとに合わせたフルカスタマイズが可能です。フロントシステムから財務経理、マネージメント支援システムまでフルラインナップを取り揃えており、TAPにサーバーを置くクラウドサービスの提供も行っています。オリジナルカスタマイズが必要とされることが多いリゾートホテル業界で特に高いシェアを獲得しています。

NEHOPS

NEHOPSはNECが提供するクラウドタイプのホテル基幹業務システム。クラウドタイプではシェアトップクラスとなる最大級のPMSです。大規模から小規模までさまざまな業態のホテル・旅館に導入できるのが特徴。

きめ細かな接客をサポートする大規模ホテル向けの「ハイグレードタイプ」と、サービス向上と業務効率化のバランスを重視した小規模ホテル向けの「スタンダードタイプ」のいずれかを選ぶことができます。

GLOVIA

GLOVIAは富士通が提供しているクラウドタイプのホテルシステム。宿泊予約機能はもちろん、フロントレセプション、フロント会計の機能に加えて、顧客管理機能、売掛管理機能まで幅広い機能を備えているのが特徴です。

GLOVIAシリーズ自体は製造業や小売業など、ホテル業界以外への導入実績があり、対応力が高いことも特色のひとつです。ホテル業態向けには「GLOVIA smart ホテル」という名称でリリースされています。

Wincal

WincalはUSEN-NEXT GROUPの株式会社アルメックスが提供するホテルシステム。ビジネスホテルや宿泊特化型ホテルなど小、中規模ホテルを主なターゲットとして、シンプルな機能・インターフェイスでフロント業務の効率化を目指したシステムです。機能やインターフェイスがシンプルだからこそ「簡単で直観的」な操作ができることが魅力です。

ニーズに柔軟に対応できるように、ホテル内に自社サーバーを設置する「クライアントサーバー型」と、ALMEXデータセンターを利用した「クラウド型」のいずれかを選択可能です。Wincalは自動精算機との連動を前提に開発されているため、同社の提供する「セルフチェックインKIOSK」との連携によりさらなる業務効率化が可能とされています。

Oracle OPERA Cloud

Oracle OPERA Cloud（「Oracle Hospitality OPERA Cloud Property Management」）は日本オラクルが提供しているホテルシステム。こちらはクラウドベースのシステムとなっています。Oracle OPERA Cloudは世界中で数千の導入実績があり、外資系ホテルで高いシェアを誇ります。

さらに、世界のホテルグループ上位10社中8社がOPERA製品を使用しているというデータもあり、世界規模の実績と信頼が大きな魅力です。ゲストの情報をリアルタイムで把握することができ、ハイレベルなおもてなしの提供が可能です。また、季節や過去の実績に合わせて宿泊レートを設定することができ、収益を逐一見直すことができるのも特徴です。

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