接客業においてクレームは避けては通れないもの。時には理不尽と思えるようなクレームもあります。ホテルはクレームにどのように対応すべきでしょうか?
クレームを受ける側から考えると、嫌な思いをすることもあります。しかし迅速にお客様の希望を上回る対応をするとどうでしょうか。逆にホテルとしてのサービスの質の高さと評価され、クレーム客をリピーターに変えることもできます。
また、お客様からのクレームには、サービス改善のヒントになるものもあります。サービスを提供するホテル側からすると、察知できなかった問題なのかもしれません。単純にお客様の気持ちを静めるだけではなく、クレームの問題や原因を見極めて対応していく必要があります。
ホテルのクレーム事例
ホテルではどのようなクレームがあるのでしょうか。数あるクレームの中で、代表的なものは以下の3つです。その原因や対応方法について見ていきましょう。
料理に異物が混入していた・問題があった
料理に関するクレームは健康被害につながりかねない、重大なリスクをはらんだ問題です。危険物が入っているケースやアレルギー表示が誤っているケースもあります。サービススタッフから異物混入の報告を受けたレストランマネージャーは、すぐにお客様のテーブルへ行って謝罪します。
お客様へ提供された料理はすぐに下げて、新たに作り直した料理を提供します。お客様の気持ちによっては別メニューに変更して提供するケースもあります。
起きてしまったインシデント(ミス)については、早急にホテル内で情報共有を行います。そして、その場にいなかったホテル支配人から改めて謝罪を行うのがよいでしょう。
レストランの一部で起きたインシデントが、その日のうちにホテルの最高責任者へ情報共有されている。そのことはお客様からすると、ホテルとして異物混入が大変な問題であったと認識しているという思いにつながります。
最後にチェックアウトの際に、フロントマネージャーから再度謝罪を行い、お詫びとして手土産やレストランの優待券を渡します。クレーム対応を適切に行えば、今後のリピーターにつながる可能性があります。
客室の清掃に不備があった
髪の毛が残っていた・アメニティの補充を忘れたなどのケースもあります。ホテルを利用するお客様からすれば、水回りやベッドなど肌に触れる部分は大変気になります。
迅速な謝罪を行い、清掃や補充だけではなく、客室の変更やあまりにひどい清掃の不備だった場合は、客室をグレードアップして利用いただく等の対応を行います。客室の変更が満室で困難であった場合は、宿泊料金の割引や翌朝の朝食を無料にするなどの対応を行いましょう。
朝食を提供するレストランマネージャーからも、改めて謝罪します。そうすることでホテルとして今回の問題点を共有し、真摯に捉えていることがお客様にも伝わります。
予約の手違い
予約の手違いによるクレームも発生しやすいものです。現在は電話予約よりも、ホテルサイトや旅行会社等のネットを通じての予約が大半を占めます。その場合、入力ミスやシステムの問題から予約の手違いが発生することがあります。
- お客様の入力ミスによって、予約日や宿泊プランが誤っていた。
- お客様の入力ミスによって、宿泊人数に間違いがあり、客室が足りない。
- 旅行会社の予約ミスによって、予約日や宿泊プランが誤っていた。
- システム上、キャンセル待ち状態だったが、お客様は予約できていると思っていた。
通常、宿泊日までに予約確認のメールが送信されますが、ネット予約の場合はどうしても確認不十分なまま、宿泊当日を迎えることもあります。お客様はすでにホテルへ到着してしまっていますので、当日もしも予約がとれていなかった場合、チェックイン時にフロントは対応を迫られることになります。
空室があれば謝罪して客室を用意しましょう。満室の場合は、近隣のホテルを紹介、予約するなどの対応をとるとよいでしょう。
クレーム対応方法
クレーム対応の基本的な手順について見ていきましょう。大半の場合クレームを言っているお客様は、立腹されています。感情的になっているお客様につられて、対応するホテルスタッフまで興奮してはいけません。まずは冷静にお客様の声を聞くことです。
迅速に謝罪する
まずは何よりも迅速な謝罪が必要です。たとえホテル側に非がなかったとしても、お客様が立腹されていることは事実です。その気持ちを受け止めず、「お客様の手違いです」「こちらに非はありません」で済ませてしまっては、さらに状況を悪化させます。
まずはお客様のお怒りのお気持ちを受け止め、「ご不快な思いをさせてしまい大変申し訳ございません」と謝罪しましょう。これは「限定付き謝罪」や「部分謝罪」と呼ばれる方法です。
クレームの原因や事実が整理できていない段階では全面的な謝罪はNGです。安易に全面的な謝罪を行うと、事実確認の前にホテル側の非を認めてしまうことになり、後々さらに話がこじれてしまう可能性もあります。まずは迅速に部分謝罪を行い、お客様の気持ちに寄り添いましょう。
状況整理・ヒアリング
お客様の話にしっかりと耳を傾け、状況を整理することが大切です。メモなどをとりながら話を聞くことも有効です。立腹されているお客様の言葉は感情的で、不満のポイントがわかりづらいこともあります。お客様が何に対して不満があり、どのようにしてほしいのか、丁寧に聞き取りを行う必要があります。丁寧にヒアリングを行うだけで、クレームが解決するケースも多くあります。
解決策・代替サービスの提案
状況が整理できたら、お客様に納得いただけるような解決策や代替サービスを提案しましょう。たとえば、先述したようなお客様のミスで予約ができていなかったケースでの対応です。
お客様のミスだったとしても、ホテル側としては不満や残念な気持ちを配慮すべきです。「こちらの仕事ではない」と言うことは簡単です。しかし、ホテルのサービスの質はトラブル発生時に問われます。お客様の希望を確認し、近隣のホテルや予算や条件に近いホテルに問い合わせを行います。予約することができれば、ひとまずお客様は安心され、機会があれば再度ホテルをご利用いただけるかもしれません。
予約できなかったとしても、「お客様のミスだから」とそれ以上の対応をとらなかったとしたら、お客様の心情はどうでしょうか。ホテルの規定もありますが、可能な限りお客様に寄り添った対応・提案をすべきです。
悪質なクレーマー顧客が発生したら?
なかには理不尽な要求をしてくるお客様もいます。いわゆるクレーマー顧客にはどのように対応すべきでしょうか? 対応方法を誤ってしまうと、クチコミやSNSで投稿されてしまうリスクもあるため、「あの客はクレーマーだから」と済ませてしまうと問題を大きくしてしまう可能性があります。
度を超えた要求をされたら
土下座の強要や金品の要求など、度を超えた要求は毅然と断るべきです。従業員を守るためには対応のラインはマニュアルとして定めておくべきでしょう。ホテルに不手際がなかったとしても、不満を金品に変えることを目的としたクレーマーも実在します。
「客室の雰囲気に対して金額が高い」
「部屋からの景色が悪い」
「ネットで見たイメージと違う」
さまざまな理由で不満を訴え、宿泊費を無料にするよう要求するケースがあります。無料にするのではなく、眺望の良い客室に変更する等、代替案で解決します。安易に割引や無料にすることを認めるのは、良い解決策とは言えません。
「スタッフの対応が悪い」
「スタッフの私語が多い」
「客を待たせすぎ」
不快にしてしまったことは謝罪しますが、重箱の隅をつつくようなクレームもあります。スタッフ同士で情報共有している場面であったり、調理に時間の必要なメニューであったりと、理由が存在するケースもあります。
サービスが悪いからと全額返金を求めてくる場合は、理由を丁寧に説明します。別室などゆっくりと話を聞く場所を設けることもよいでしょう。
しかし注意すべきは、「一人で対応しない」ことです。クレーマーの要求は見返りです。相手の言葉尻を捕まえて、自分にとって都合の良い解釈をします。そうならないためにも、複数のスタッフで対応する必要があります。
ホテルには「サイコロジカルバリア」(心理的障壁)という手法が多く取り入れられています。ロビーに厳格な雰囲気を漂わせているのは、うかつに騒いだりできなくするためです。
そういった厳格な雰囲気の個室にクレーマーを案内し、クレーマーが1人であれば2人のホテルスタッフ・責任者、クレーマーが2人であれば4人のホテルスタッフ・責任者が向かい合うことで、それ以上の無理な要求を言いづらい、「無言の圧力」をクレーマーに与えることができます。
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