ホテルがキャンセル料を請求する際に気を付けたいこと

コロナウイルスの影響で増加傾向にあるホテルの宿泊キャンセル問題。なかでも無断キャンセル（ノーショー）は死活問題です。ホテル経営においてノーショーによる損害は無視できません。キャンセルポリシーを明確にし、キャンセル料を徴収するホテルも増えています。この記事では、ホテルのキャンセル料請求とその際に知っておきたいことを解説します。

ホテルのキャンセル料について

コロナ以前からノーショー被害は問題視されており、「飲食店や宿泊施設などのノーショーは毎年2,000億円以上の被害」があるとされています。そのため、キャンセル率を下げる対策が必須です。

航空券は先払い制を徹底していますが、ホテル・旅館の先払い制は浸透しきっていません。そのため、無断キャンセルが起こりやすい状況を招いてしまっている傾向にあるのかもしれません。

国内でもキャッシュレス化が拡大しているとはいえ、まだまだ現金支払いが多い日本では、先払い制度を導入できないと考えられます。

キャンセル料はいつから発生する？

キャンセル料の発生期間は、各ホテル、施設の形態などによっても異なります。たとえば、ビジネスホテルは前日から当日にかけてキャンセル料が発生しますが、旅館の場合だと約1週間前からキャンセル料が発生するなどです。

ビジネスホテルに比べて、旅館は食事付きのプランが多く、食材の廃棄リスクなども考えると早い段階からキャンセル料が発生してしまうのもうなずけます。

以下には、ホテルのよくあるキャンセル規定の一例をご紹介します。

1週間前…宿泊料の20％
3～2日前…宿泊料の50％
前日…宿泊料の80％
当日…100％

キャンセル料に関する法律

キャンセル料に関する法律としては「消費者契約法」があります。消費者契約法9条1号によれば、「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える」金額は請求できないとされています。実際の損害を超えるような高額のキャンセル料を請求することはできないので注意が必要です。

たとえば、宿泊約款に10日前のキャンセルは宿泊料金の50％をキャンセル料とする定めがあったとします。この場合、約款を元にすれば10日前にキャンセルがあれば50％請求することになりますが、10日前であれば料理の食材のキャンセルも他の宿泊客の予約もまだ見込める状況ですので、通常生ずべき損害は僅少であるといえます。そのため、たとえ宿泊約款の定めがあったとしても10日前のキャンセルにつき50％のキャンセル料の請求はできないと解される、といった理屈になるわけです。

キャンセル料を払わない人も多い

ホテルのキャンセル料の回収率は低いと言われています。正確なデータはありませんが、50％未満とも10～20％程度ともいわれています。

では、なぜキャンセル料を支払っていない人が多いのでしょう。理由としては大きく2つ。ネット予約の増加と着信拒否が大きく作用していると思われます。

1つ目のネット予約ですが、人を介さず予約がとれるというところに問題発生原因があります。ひと昔前であれば電話予約が主流で、必ず人とのやり取りのうえ、予約を取り付けていました。ですが今やネットを介して簡単にスマホ・PCから予約がとれる時代。キャンセルをするにしても感じる罪悪感が薄く、気軽に無断キャンセルしてしまう要因になっていると考えられます。

2つ目の着信拒否ですが、無断キャンセルすればホテルから確認の電話がかかってきます。ただ、ホテルの番号さえわかってしまえば、その番号を着信拒否にすることによってかかることもなくなるので、そのままなかったことにしてしまうケースが増えていると考えられます。

以上2つの理由からキャンセル料を払わない人がいるという話ですが、それと同時に、ホテル側がクレームを恐れて請求に踏み切れないという側面もあるようです。

キャンセル料の請求方法・支払い方法

予約時にクレジットカードが登録されている場合はそのままクレジットカードに請求します。電話予約の場合は該当の番号に電話をして支払いをお願いします。また、住所を把握している場合はその住所宛に請求書を郵送します。

宿泊客が本当は自己都合でのキャンセルであるのに、自己の責めに帰すべきでないような虚偽の事実を伝えてキャンセルを正当化することも考えられます。このような場合にはホテルは騙され損ですし、正直にキャンセル料を支払っている他の宿泊客との公平性を欠くことにもなります。

ホテルとしては、原則としてキャンセル料を請求し、宿泊客が診断書や各種証明書等を提出した場合のみキャンセル料を請求しないという運用を貫くのも十分に理由があります。サービス業者の頭の痛いところですが、一種の経営判断にならざるを得ないでしょう。

キャンセル料規定は宿泊約款、Webサイトなどに明記を

キャンセル料については宿泊約款に明記し、Webサイトにも明示しておくべきでしょう。お客様の事情や心証も考慮すべきではありますが、無断キャンセルには毅然とした対応も必要です。多くのホテルではキャンセル料の規定を設けています。

Webの予約ページでは予約の確定ボタンを押す際、キャンセル料についての同意確認を入れて「同意する」を選択しなければ確定できないようにするといいでしょう。そうすることにより「キャンセル料の説明なんてなかった！」という主張を退けることができます。

キャンセルをなるべく作らないよう事前決済など、予約の段階での対策をとることができるのが1番ですが、そうもいかないシーンもありますので、しっかり事前対策をとることも重要です。

ホテルの集客には漫画コーナーがおすすめ

キャンセルに悩んでいる場合、キャンセル顧客への対応も重要ですが、必ずキャンセル料が回収できるわけではないので新規に集客することも必要です。

とはいえ、大量の漫画を管理するのはとても大変です。そこで、近年注目を集めているのが店舗向けの漫画レンタルサービス。

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