今や日本の生活には必須の家電となっているエアコン。とても身近な存在ですが、実際にエアコンがどのようにお部屋を涼しく、また暖かくしているのかをご存知ない方も多いのではないでしょうか。
今回はエアコンの冷房と暖房の仕組み、またエアコンについて解説する上で欠かせない、冷媒ガスの役割についてご紹介します。
エアコンの中はどうなっている? 熱交換機や室外機の役割を解説
エアコンは室内機と室外機の2つで1セットです。それぞれの間の管を「冷媒ガス」が行き来することで部屋の温度を快適に保ってくれます。
ここではエアコンの基本的な仕組みと、冷房時、暖房時でエアコン内部はどのように変化しているかを解説します。
エアコンの基本的な仕組み
エアコンは液体と気体の性質によって部屋を温めたり、冷やしたりしています。エアコンの温度調整で要となるのが「冷媒ガス」の存在。冷媒ガスが室内機と室外機をつなぐ冷媒配管の中を、液体になったり、気体になったりしながら行き来することで部屋の温度調整をしているのです。
冷媒配管の途中には圧縮機と膨張弁が配置されており、冷媒ガスを圧縮し、高圧にすると高温になります。逆に膨張させ、低圧にすると低温になります。高温や低温になった冷媒ガスを室内機、室外機共にある熱交換器で、周囲の空気と触れさせ、熱の調整を行うのです。
エアコンの冷房運転の仕組みとは
冷房運転には、冷媒ガスが液体から気体へ変化する際に、周りから熱を奪う仕組みが利用されています。室外機の中にある減圧器によって低温の液体へと変化した冷媒ガスは、室内機へ移動し、熱交換器を冷却。
その後、室内機のファンで吸い込まれた室内の熱い空気は、熱交換器によって熱を奪われ、冷たい空気として部屋に放出されます。
部屋の熱を吸収した冷媒ガスは、再び室外機に戻る際、圧縮機で高温の気体に変化。そして室外機の熱交換器を通過するときにファンによって冷やさるため、室外機からは、その冷やされる過程で発生する熱い空気が放出されます。
エアコンの暖房運転の仕組みとは
暖房の場合は、冷房と逆の仕組みになります。室外機から吸収した外の熱は圧縮機で高温の気体に変わり、そこから室内機へ移動。その結果、暖かくなった冷媒ガスによって熱交換器も温められます。
熱交換器はファンによって部屋に温風を送り、部屋の冷たい空気は、冷媒ガスによって室外機へ送られ、外へ放出されます。
除湿機能と冷房との違い
エアコンの冷房運転は部屋の「温度を下げる」ことに、また除湿運転は部屋の「湿度を下げる」ことに、それぞれ重点を置いた機能です。冷房は、冷媒ガスにより室内機の熱交換器が冷やされ、そこへファンで風を送ることで、部屋に冷風が流れる仕組みになっています。
一方、除湿はまず部屋の湿った空気をエアコンで吸い込み、熱交換器で熱を奪い部屋の温度を下げます。その後、熱交換器に結露として付いた水分を集め、ホースによって部屋の外へ排出することで、部屋の湿度を下げる仕組みのことを指します。
除湿には、弱い冷房をかけている状態と同じ「弱冷房除湿」と、同じく弱い冷房をかけて部屋の水分を除きつつ、部屋の温度は下げないように、再度設定温度に温めなおしてから部屋に放出する「再熱除湿」という2種類があります。
再燃除湿は部屋の温度は下げずに湿度だけ下げることができる反面、温め直しの際に電気代が多くかかるという特徴があります。冷房と除湿の適切な使い分けとしては、外の気温が高くなる夏場は冷房、梅雨の時期など外気が低温多湿の時は除湿を選択するといいでしょう。
お使いのエアコンが弱冷房除湿・再熱除湿どちらに対応しているかは、製品マニュアルやメーカー公式サイトを見て確認してください。機種によっては、リモコンのボタン名から判断することもできます。
冷媒ガスの役割
冷媒ガスは、室内機と室外機をつなぐ、冷媒配管という管の中を循環しています。冷媒ガスが圧力や温度により気体になったり、液体になったりしながら熱の移動を行うことで、冷暖房機能が成り立ちます。
冷媒ガスが漏れてしまうなどのトラブルで、必要量が冷媒配管に入っていない状態になると、エアコンの能力が低下し、温度調整が効かなくなります。
通常、エアコンの買い替えは10年が目安と言われていますが、経年劣化などによりエアコンをつけていても部屋の温度が変化しない時は、冷媒ガス漏れの可能性が考えられます。引っ越しなどでエアコンの移動を繰り返すのも、冷媒ガスの漏れにつながりやすいので注意が必要です。
冷媒ガスの歴史
時代の変化に合わせて、環境に配慮した冷媒ガスが開発されてきました。2000年より前の時代には主に「R22」というフロンガスが使われていましたが、オゾン層を破壊するという環境への悪影響に配慮し、全廃になりました。
その代わりとして、2000年代以降は「R410A」や「R407C」と呼ばれる代替フロンが登場。ですが、オゾン層には影響はないものの、温室効果ガスと呼ばれ、大気への放出は環境に良くないと認定されました。
そして2012年ごろ、さらに環境への影響が少ない「R32」という代替フロンが開発されます。現在はR410Aと、R32が冷媒ガスの主流です。
冷媒ガスの種類
冷媒ガスはタイプにより性質が違い、工事内容も変化します。たとえばR32は単一冷媒と呼ばれ、足りなくなった分のみ追加する「ガス補充」が可能。
これに対して、R410Aのような二種混合冷媒と呼ばれるものは、複数の冷媒ガスが合わさった状態であるため、単なる補充をしてしまうと、配合の比率が変わってしまいます。
そこで、ガスを全て入れ替える「ガスチャージ」という作業が必要。ガスチャージを行う際には、事前に真空引という作業を挟む必要があり、その後に規定量を再び入れ直すことになります。
空気の温度や湿度を調整して、室内を快適にするエアコン
エアコンの暖房、冷房、除湿の仕組みが理解できると、エアコンのパワーを最大限に生かすために必要なことがわかってくるでしょう。エアコンの室内機も室外機も、周りの空気の流れをスムーズにすることで能力を発揮します。
たとえば、室外機の熱交換器部分にホコリやゴミが詰まっていると、霜や氷が付くことで、熱交換の効率が悪化。結果、暖房の効きが悪くなり、余計なエネルギーが消費されて電気代が嵩みます。こまめなお手入れを怠らないようにし、エアコンの効果を最大限発揮できるようにしましょう。
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