単身赴任の予定があり「住民票は移す必要があるのか教えてほしい」「住民税や住宅ローン控除、児童手当がどうなるのか知りたい」など疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
住民票異動の有無や各種手続きについて把握していないと、不便を強いられたり損をしたりする可能性があります。そこで今回は、単身赴任の住民票異動や各種手続きについて解説します。
単身赴任中でも住民票を移す義務がある?
単身赴任の場合、住民票異動をするかどうかは単身赴任期間や家族がいる自宅への帰省頻度などによって変わります。法的に「○○なら移さなければならない」という厳密な取り決めはありませんが、おおむね以下を目安にすると良いでしょう。
- 単身赴任期間が1年以上
- 家族がいる自宅への帰省頻度が月1回程度
逆に以下のような場合、単身赴任先は仮住まいと判断されることが多く、住民票を移す必要はありません。
- 単身赴任期間が1年未満
- 家族がいる自宅へ頻繁に帰省する(週1回など)
このように、単身赴任期間や帰省頻度によって住民票異動するかどうかの判断が変わるため注意しましょう。
住民票を移すメリット
住民票を単身赴任先に移すことで、運転免許証の更新手続きがラクになり、自治体が運営する施設などでお得なサービスを受けられる場合があります。また、単身赴任先の地域の選挙で投票できるようになります。住民票を移すことで時間と手間を省けるようになり、より快適な単身赴任生活を送ることが可能です。
ここでは、単身赴任先に住民票を移すメリットについて見ていきましょう。
運転免許証の住所変更ができる
単身赴任先に住民票を移しておけば、運転免許証の更新がラクになります。運転免許証の更新は、住民票に記載された住所の地域で行わないといけないからです。住民票を移していないと運転免許証の更新のために帰省が必要となります。帰省したのに更新手続きに時間をとられ、家族と過ごす時間が短くなってしまうでしょう。
自治体のサービスが適用される
住民票を移していれば、単身赴任先の自治体のサービスが適用される可能性があります。たとえば、次のようなサービスです。
- 自治体が運営するスポーツジムを割引料金で利用できる
- 自治体が運営する美術館や動物園などで入場料が割引になる
- 一般より安い金額で健康診断を受けられる
住民票を移していないと、地域の図書館などの利用がスムーズにできない場合もあります。住民票を移すことで地域の住民サービスを受けられるようになり、より快適で便利な単身赴任生活が送れるでしょう。
赴任した地域の選挙投票に参加できる
選挙権は、住民票の住所に適用されます。単身赴任先に住民票を移さない場合は、赴任先の地域の選挙投票ができません。選挙の時期に合わせて帰省しないといけなくなります。
選挙はそう頻繁に実施されるものではありませんが、住民票を移していないと不便に感じることでしょう。
手当・控除・住民税│住民票を移すときの3つの疑問
子供手当はどうなる?
児童手当(子供手当)は、請求者が住民登録されている市区町村から支給される仕組みです。単身赴任をする場合は、転出手続きをする際に受給事由消滅届を提出する必要があります。また、赴任先の市区町村で転出日の次の日から15日以内に申請手続きしなければなりません。
自宅のある市区町村と赴任先の市区町村、両方で手続きが必要なことを覚えておきましょう。
住宅ローンの控除は受けられる?
住宅ローン控除は、毎年の住宅ローン残高の1%を10年間(または13年間)所得税から控除するお得な制度です。所得税から控除しきれない分は、住民税からも一部控除されます。単身赴任で家を離れる場合は、住宅ローン控除はそのまま適用されます。残された家族がそのまま住み続けるためです。
ただし、家族全員が赴任先に転居する場合は、住宅ローン控除を受けられない可能性があるため注意してください。単身赴任をして、あとから家族が転居してくる場合は、事前に金融機関に相談してみましょう。
住民税は二重払いになる?
住民税は、その年の1月1日時点に居住している市区町村に納めます。1月1日より前から単身赴任をしている場合は、赴任先の市区町村から均等割・所得割が課税されることになります。
住民票のある場所が住民税の納税地であり、住民税は世帯課税ではなく個人課税です。そのため、2箇所の市区町村に住民税を納める場合はありますが、二重に課税されることは基本的にはありません。
単身赴任するときに住民票を移す方法
住民票を移す際に必要なものや方法を知っておくことは大切です。事前に把握しておけば、住民票の異動をスムーズに進められます。ここでは、住民票を移す際に必要なものや方法を紹介します。
必要なもの
住民票の異動には、転出届と転入届が必要です。転出届で必要なものは次のとおりです。
- 本人確認書類(運転免許証など)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 印鑑登録証明書(登録者)
- 印鑑 など
また、転入届で必要なものは次のとおりです。
- 転出証明書
- 本人確認書類(運転免許証など)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 印鑑登録証明書(登録者)
- 印鑑 など
このように、転出届と転入届は必要なものがほとんど同じです。本人確認書類は運転免許証やパスポートなどの顔写真付き身分証明書が該当します。転出届をすると転出証明書が発行されますので、転入届の際に提出をします。
早めに準備をして、スムーズに住民票異動ができるようにしましょう。
世帯主が夫で、家族が妻と子ども(15歳以上)の場合
子どもが15歳以上の場合は世帯主にすることも可能です。夫の住民票を異動する際は、現住所の世帯主を妻または子どものどちらにするのか決める必要があります。世帯主が夫から妻または子どもに変わるため、転出届と同時に世帯変更届も提出します。
単身赴任が終わって夫が戻る場合は、再度世帯主の変更手続きが必要です。
世帯主が夫で、家族が妻のみ・妻と子ども(15歳未満)の場合
この場合は、夫以外に世帯主になれるのは妻のみです。夫の住民票を異動するときは、転出届の際に世帯変更届を提出して妻を世帯主にします。夫の単身赴任が終わり自宅に戻る場合は、再度世帯変更届を提出して、夫を世帯主にする手続きが必要です。
赴任終了時に住民票を戻す方法
単身赴任が終了して住民票を戻す方法は、単身赴任時に住民票を異動させた方法と基本的に同じです。住民票の異動回数に制限はありません。世帯主を夫にする場合は、世帯変更手続きを忘れないようにしましょう。
単身赴任の状況で住民票異動を判断!住民税・控除も把握しておこう
単身赴任は急に決まることも多いです。住民票異動や各種手続きの疑問を解消し、必要なものや手続き方法を知っておくことで、慌てずスムーズに進められるようになります。
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