夏場や冬場にエアコンを使うときに迷うのが「設定温度」。何度にすれば快適かつ健康的と言えるのでしょうか? 体感温度は性別や年齢、体型などによって個人差があります。また適正温度なのに不快と感じるときは、湿度が関係していることも。
今回はエアコンの冷房・暖房を使用するときの設定温度、エアコンを効率よく運転する方法などを紹介していきます。
部屋の温度は健康に影響する
私たちの健康にとって大切な体温管理。体温を調節するには、部屋の温度を適切に保つことが重要です。部屋が快適な温度でないのに、無理に我慢すると体調を崩してしまいかねません。
夏場は熱中症の危険があるため、暑さを我慢せずにエアコンを使いましょう。しかし温度設定を低くしすぎたり、直接冷風を浴びすぎたりすると身体に良くありません。外気温と室温の差が大きいと、頭痛などの症状が出ることもあるので冷やしすぎには気を付けましょう。
冬場は16℃を下回ると、さまざまな健康被害が現れます。10℃以下になると、高齢者は低体温症の発症リスクがあるので注意しましょう。また暖房を使うと湿度が下がるので、湿度管理も欠かせません。部屋が乾燥するとウイルスが繁殖しやすく、喉や肌・眼などの乾燥も気になります。体調を崩さないためにも暖房を使いすぎないほか、加湿器を併用しましょう。
エアコンの設定温度の目安は何度?
適切な室温を保つには、エアコンの設定温度を何℃にすれば良いのでしょうか? ここでは環境省が推奨する冷房時と暖房時の室温目安に基づいて、それぞれの適正温度を紹介します。
夏の冷房時の適正温度
冷房時の室温目安は「28℃」です。しかし設定温度を28℃にしたとしても、外気温や部屋の断熱効果などの条件により実際の室温は変わります。そのため暑い・寒いと感じたら設定温度を変更したり、扇風機やサーキュレーターを併用したりしましょう。
実際の室温がわかるように、部屋に温度計を設置しておくのがおすすめですよ。
冬の暖房時の適正温度
暖房時の室温目安は「20℃」です。冷房時と同じく、設定温度を20℃にしてもさまざまな条件によって室温が異なります。そのため温度計や体感温度を頼りにして、快適な室温になるようエアコンの温度設定を調整しましょう。
また、暖かい空気は上に溜まりやすいので、風向きの設定を下向きにしたり、サーキュレーターで空気を循環させたりすると効果的です。
夏と冬での温度差による電気代の違い
エアコンは室温と設定温度の差が大きいほど消費電力が増えます。夏場は室温30℃を28℃に下げるなど数℃の差で済みますが、冬場は室温10℃を20℃に上げるなど10℃以上の差もしばしばです。
そのため同じ時間エアコンを使っていたとしても、夏より冬の電気代が高くなる傾向にあります。
逆に考えれば、冬場でも室温と設定温度の差が小さければ電力の消費量は少なくなり、電気代が節約できると言えます。たとえば断熱効果の高い家に住むと部屋の温度が下がりにくくなり、室温と設定温度の差が縮まりやすくなります。
設定温度を1℃変えると消費電力は10~13%削減できる
先ほど解説した通り、室温と設定温度の差が小さくなるほど消費電力を抑えることができます。環境省の報告によると夏は冷房の設定温度を1℃上げると約13%、冬は暖房の設定温度を1℃下げると10%削減できるそうです。
体調を崩さないためにも快適な室温を保つのは大切ですが、電気代のことを考えるとエアコンの効かせすぎには注意が必要ですね。衣服で調節したり、他の冷暖房器具と併用したりと工夫をしてみましょう。
室温調整のポイント
一般的に快適と言われる温度であっても「暑い」「寒い」と感じる場合もあります。室温調節をする際は温度だけでなく、以下のポイントも確認しましょう。
湿度も調整する
室温が快適だったとしても、湿度の高さによって体感温度は変わります。快適とされる湿度は40~60%です。湿度が高いと暑く感じ、低いと寒く感じます。
夏場のじめじめする日は、除湿器やエアコンの除湿機能を使うと快適に過ごせるでしょう。カビやダニの発生を抑える効果もあります。冬場はもともと湿度が低いですが、暖房を使うとさらに乾燥するので加湿器で湿度を上げましょう。体感温度が上がるだけでなく、風邪や乾燥肌の対策にもつながりますよ。
性別や年齢で調整する
これまで室温設定の目安を紹介してきましたが、人によって快適と感じる温度は異なります。とくに体感温度に大きな差が生やすいのが「性別」「年齢」の違いです。一般的には男性の方が、3~5℃ほど体感温度が高いとされています。女性と比べ皮下脂肪や筋肉量が多く、基礎代謝が高い傾向にあるためです。
赤ちゃんは体温調節機能が未熟なため、大人が適温と思っていても暑すぎたり寒すぎたりする場合があります。そのためこまめに様子をうかがって、室温調節や服の着脱などをしてあげましょう。また高齢になるにつれて基礎代謝が低下するため、高齢者は若い世代より体感温度が低い傾向にあります。
節電しながら温度調節の効率を上げる方法
冷房は28℃、暖房は20℃に設定しても快適に感じられない場合は、もしかしたらエアコンを効率よく運転できていないというケースかもしれません。エアコンの設定温度を変えなくても、これか紹介するちょっとした工夫で温度調節の効率を上げれば、快適かつ節電にもなりますよ。
エアコンの風向きを調整する
エアコンの風向きを調節すると、設定温度を下げなくても快適に感じやすくなります。冷房時は上向き、暖房時は下向きに設定すると効果的です。
暖かい空気は上に溜まりやすく、冷たい空気は下に溜まりやすい性質があります。溜まりにくい場所にエアコンの風向きを調節することで、空気が循環しやすくなり室温のムラを少なくできるでしょう。
自動運転モードを使う
部屋の温度を察知して自動で風量調節する「自動運転モード」を使えば、効率よく部屋を適温にしてくれるので節電効果が期待できます。
エアコンの電気代がかさむのは、室温が設定温度に達するまでの間です。はじめから風量を弱くしていると、いつまでも設定温度に達しないのでかえって電気代が高くなってしまいます。
自動運転モードでは強運転で一気に設定温度まで調節し、その後は微風で室温を保つため節電かつ素早く快適な部屋になります。特に最新のモデルは気温や湿度を察知したり、人感センサーがついていたりとより快適な室温になるよう運転してくれますよ。
エアコンの電源は頻繁にオンオフしない
エアコンの電源は頻繁にオンオフしない方が、電気代節約につながる場合があります。先ほど解説した通り、エアコンの電気代がかさむのは室温が設定温度に達するまでの間です。適温になってから温度を保つのには、さほど電気代はかかりません。
こまめに電源を切ると室温が変わってしまい、強運転を繰り返さなければならないためかえって電力を消費することになるのです。外気温と室温の差が大きい日や、1時間以内の外出のときはつけっぱなしにしておくのがおすすめですよ。
サーキュレーターを活用する
サーキュレーターを活用すると空気の循環が良くなるので、エアコンが効きやすくなります。サーキュレーターがないご家庭は、扇風機で代用してもOK。
冷房時はエアコンから少し離れた場所にサーキュレーターを設置しましょう。エアコンに背を向けて、前向きに送風すると冷房効果が高まります。暖房時は部屋の隅に設置し、エアコンに向けて送風しましょう。暖かい空気は上に溜まりやすいので、サーキュレーターを上向きにすると空気が循環しやすくなりますよ。
窓に断熱シートを貼る
冬場は窓に断熱シートを貼ると、暖房効果が高まります。窓は空気の出入り口であり、わずかな隙間から暖かい空気が逃げてしまいがち。ホームセンターなどで安く手に入る断熱シートであれば、手軽に対策ができます。一方の夏場は、遮光カーテンやすだれ・よしずなどを使って直射日光を避けるのが効果的です。
エアコンが効きづらいときのチェックポイント
エアコンが効きづらいと感じたら、エアコン内部やフィルターの汚れが原因かもしれません。しかし故障であったり、対応畳数が違ったりなど別の要因も考えられます。いずれにしてもこれから紹介するような確認・対処をするのがおすすめです。
エアコン内部・フィルター汚れや故障
以前よりエアコンの効きが悪くなったと感じる場合、エアコン内部やフィルターに汚れが溜まっている可能性があります。汚れが溜まると送風能力が弱まり、冷暖房の効率が下がってしまうのです。
フィルターは2週間に1回程度、こまめに掃除をしましょう。内部の汚れは数年に1回、クリーニング業者に清掃を依頼するのがおすすめです。また内部の部品が故障している場合もあります。清掃をしても改善しない場合は、修理業者への依頼も検討しましょう。
エアコンの対応畳数
エアコン内部の汚れを改善しても効きが悪い場合は、対応畳数と部屋の広さが合っているか確認してみましょう。エアコンは機種によって冷房・暖房の能力があり、部屋の広さを基準に決められています。対応畳数に達していないエアコンを使っていると、能力不足で部屋を設定温度にできないことも考えられます。
冷房時と暖房時、木造と鉄筋など建築構造で対応畳数が違うので、表示の見間違いに注意が必要です。また引っ越しで前の家からエアコンを持ってきた場合は、部屋の広さと合っていないケースがあります。その場合は買い替えを検討してみましょう。
電気代を節約するなら省エネ機能の高いエアコンもおすすめ
リモコンの設定温度が同じでも、日当たりや建物の環境、湿度などで実際の室温は異なります。また体感温度も人それぞれです。冬の暖房は20℃、夏の冷房は28℃が目安ですが、体調を崩さないよう適切に設定温度を調節しましょう。
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